金曜日ということで、どこか浮き立っている。今日は生徒会が無い。いつも走っている寒そうな軍団は、まだ準備運動中なのか見当たらない。
毎週のことだから慣れたつもりだが、ちょっと寂しい。
昔は一人で帰るなんて当たり前だったのに……女子みたいだと自傷的に笑う。
「いいんちょ??」
電車を待つフォームで、後ろから声がする。
中学校からの癖で少し気持ちがそちらへと向かう。現在クラス委員長は荒尾だ。
「いいんちょだろ?」
次には肩を掴まれた。
どうやら自分のことだったらしい。
「……結城??」
振り返った先にいた少年は、自分とは違う制服を着ていた。
「やっぱいいんちょだ」
結城和也。中学校で3年間一緒であったが、そう仲が良かった訳ではない。少し馬鹿ふざけが過ぎるところがあるが、クラスのムードメーカーだった人物だ。
1年であるだろうが制服は着崩してあり、髪は短く鮮やかな色をしていた。
「もう委員長ではないんだけど?」
3年間必ず2学期という長い期間で委員長を務めていた為、結城はずっと俺のことをいいんちょっと呼んでいたっけ。
つい懐かしくて頬が緩む。
「そういやそうか!いつまでもいいんちょな訳ないよな。えっと………」
「浦田だ」
「あ、いや、忘れてた訳じゃないからなっ!」
ころころと変わる表情はあの頃のままで、外見が変わっていて驚いた気持ちが無くなる。
「い……浦田も相変わらずだな。懐かしいの一言から始まってよねぇ~」
「1年やそこらで大きく変わる訳ないだろう?結城も相変わらずだな」
大きく頬を上げて、結城は笑った。
「でもい……浦田変わったよなぁ~」
「そうか?」
少し突き放した態度とか、そう他人に関心が無いところとかあまり自分が変わったとは思えない。
結城のように大きく外見が様変わりした訳でもないし。
「いいんちょ雰囲気が変わった。綺麗になったなぁ~」
「浦田だ。それに綺麗になったって嬉しくない。女子にでも言ってやれよ」
結城は不思議そうに首を傾げて、俺の頭を派手に撫でた。
「結城?」
「やっぱ浦田は浦田だけど、変わったな。うんうん」
結城の言うことはよくわからないが、なんだか急に恥ずかしくなってしまう。頬が赤いのを隠すように、俺は目線を下げた。
流漣)携帯からUPや名前の送信etc…万全を期していたつもりでしたがメールを打つ暇がありませんでした(爆)3日坊主では終わりませんので(汗)
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