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ぽかぽかと暖かい。勿論吹く風は寒いし、温度計を見れば寒いっ!と叫び出すかもしれないが、日向にいるだけでどこか暖かく感じる。
本来ならば屋上は開くはずが無い場所である。
高いフェンスがしてあっても、乗り越えるっという意志があれば無いに等しい。
平良が何処からか拾ってきた鍵が、奇跡みたいに屋上の扉と一致したのだ。それをコピーして俺ら4人は屋上の鍵を手に入れた。
他の誰かに見つからないように入らなくてはいけないし、いくら眺めが良くても下から見える範囲に入ることもしてはいけない。4人だけで共有する秘密だ。
入り口のある壁に背を預け、俺は読書に耽っている。
平良は担任の手伝いを買って出たし、俊は今の彼女と一緒だ。珍しく恵胡は食事を済ませるとどこかに行ってしまった。
ガタンッ!
少し乱暴にドアが開く。
「もぉっ!」
頬を膨らませて入ってきたのは、恵胡だった。聞かなくても腹を立てていることが窺える。
「どうし……」
「聞いてよ彰!!」
聞くより先に、恵胡の口が開く。
「昼休みに体育館裏に来てくださいって手紙が来てたからさ、行ってみたんだよ。そしたら3年の先輩がいてさ、『好きです。卒業する前に気持ちだけ伝えておきたかったの』って」
隣に恵胡は腰を下ろす。
「で、恵胡はそれの何処に怒ってるんだ?」
「卒業するんで気持ちだけって、2ヶ月だけでも付き合いたいってこと??もしOKしてたら残された俺はどうなるの??」
つい笑ってしまった俺に、恵胡が睨みつけてくる。頬を膨らませて怒る姿は、申し訳ないがどこか笑ってしまう。
「じゃぁさ、恵胡の好きな奴がもし1週間後に転校することになって、恵胡は気持ちを伝えずにいれるか?」
途端に膨れていた頬の空気が元に戻る。
「別に卒業や転校したからって一生会えなくなる訳じゃないし、遠距離だって好きならありだろ?卒業する前に気持ちだけってちょっとややこしいこと言われたんで、恵胡に上手く言葉が通じなかったんだな」
恵胡の視線が空へと向かう。
自分に置き換えているのかもしれない。土曜日にあった爆弾発言の思い人に。
「本当だ。卒業は終わりじゃない」
先ほどまでの怒りが嘘みたいに、恵胡は満面に笑顔を浮かべた。
「彰、あったまいぃ~」
体当たりにも近い勢いで、恵胡が首に抱きついてくる。
じゃれてくる子供のように、頭を撫でてやると恵胡は嬉しそうな声を出した。
「好きなら距離とか、何も関係ないや」
嬉しそうに笑う恵胡が嬉しくて、俺はまた頭を撫でてやった。

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