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「そういや、生まれる前の記憶って3歳までなんだろ?覚えてた子供も、その年齢になると自然と忘れていくんだって」
移動教室の帰り道。教科書とノートだけでできる生物の授業を態々離れた第2理科室でやる意味がわからない。さらにその授業中、ずっと白衣を着ている教員の気持ちもわからない。
先ほどの授業の内容を受けてか、平良がぽつりと漏らした。
「えっえっ、マジマジ??」
恵胡が嬉しそうに反応している。少しずれた捉え方をしている雰囲気がするが………。
「3歳までに聞けば、自分が前なんだったかわかんだ。くそぉ~親父絶対聞いてないだろうなぁ。俺としては武士とかがいいんだけど」
やっぱり思った通りだ。
「きた、恵胡の馬鹿発言」
「おぃ!馬鹿俊に言われたくないぞ!」
廊下の真ん中でプロレスを始めると困るので、2人の間に無言で体を滑り込ませる。
「お、彰ナイス」
「恵胡、生まれる前ってのは、母親のお腹の中にいた頃ってことだ」
「ほぇ?やべぇ!俺超勘違い!!」
鬼の首を取ったように笑う俊を、真っ赤になりながら恵胡が睨みつける。
「でもよぉ~生まれる前の記憶っていつからだろな?」
「脳が出来た時かな?」
記憶するものが無ければ残らないだろうから、そう答えてみた。勿論確証などはない、ただのやり取りの一つだ。
「もしかしたら精子の時かもじゃねぇ??」
なるほど、俊がノリノリで会話を続けたと思ったら、下ネタに持っていくつもりだったのか。
「溜めてたからライバルが多くて大変でした!っとかさぁ~」
「じゃあ卵子もあるだろうが」
バシっといい音を立てて、俊の背中を教科書で叩く。
「へぇ~ん、俊馬鹿じゃねぇの~」
やり返しに恵胡が言うと、俊が反撃をしようとするので止めた。
「前世かぁ~、前世で親しかった人間が後世でも傍に生まれるっていうけど、俊と恵胡も前からこんな感じだったのかな?」
「え、マジで?じゃぁ、俺ら4人は前世からの仲なのか??平良」
「えっと、前世とかは迷信かもしんねぇけど、そう言われてるよな。恋人とか親子とか兄弟とか……」
子犬のように、平良に質問を浴びせる恵胡が可笑しい。先ほどまであんなに俊に突っかかって行っていたのに。
「やべぇ~俺恵胡と恋人だったら絶対セックスレスだぜ」
折角機嫌が良くなったのに、相変わらず。
「よし、前世の恋人は彰にしよう!」
「おい、本人の同意は無しかよ……」
俊が肩に手を回してくる。身長差が明確になるので、ちょっと気に障る。
「駄目っ!彰は俺の恋人だったはずなんだからな!」
左腕を引っ張られ、無理矢理俊から離される。威嚇しているのだろうが、どうも迫力がない。
「ちぇ~取られちった。じゃ、平良で手を打つかな?」
「浮気者はお断りだな」
肩に手を回すより早く、その手を平良に抓まれる。
左腕にしがみ付きながら、恵胡はまだ威嚇している。
その行動が、小さな子供みたいでついつい恵胡の頭を撫でる。
「俺も俊より恵胡がいいな」
「ちぇっ~俺振られまくりじゃ?」
ぼっと音がしそうなほどに、恵胡の顔が一瞬で赤く染まる。思わず撫でていた手が止まる。
普段だったら意気揚々と俊に突っかかるはずの流れなのに、恵胡は逆に大人しくなってしまった。まるで今気付いたように、掴んでいた左腕から離れた。
驚いて歩みの止まった俺に、後ろから来た平良がぶつかった。
平良が何か言っていたが、右から左に流れるように頭に入ってこない。恵胡の赤さが移ったように、何故か顔が熱かった。

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