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5月4日(金・祝)
 
 
暗い部室だとか、スタンドだけの自室、シャワーで音の消される浴室。
そんなものが最初に浮かんでくるのに…………どうして俺は今、潮風に当たりながらエロ本を読んでいるんだ?
昨日は平良、今日は俊。
案外二人とも、合宿に恵胡が行ってこの連休にいないことを気にかけてくれているのかもしれない。
優しい友人を持ったものだ。
だからといって、昼のお天道様が燦々と降り注ぐ堤防で、男二人、何故ホモエロ本を読んでるんだ。
あ、訂正。読んでるのは俺だけだ。
俊は傍らにペットボトルを置いて、空を見上げている。
「どう?参考になりそう??」
「これ、どっから集めたんだよ」
「兄ちゃんに聞いたら、完全ホモの友達がいるからそいつが抜いてるおかず貸してくれた。あと、義姉さんの友達の腐女子さんから」
抜いてるとか余分な情報はいらないから…………。
「あ、それこの前恵胡にも貸したからなぁ~」
「…………はぁっ!!!」
一瞬、俊の言葉に脳味噌が活動停止を宣言した。
「彰だけに知識与えちゃ、フェアじゃねぇだろ?俊君ってば優しぃ~」
相変わらず空を見上げたままの俊の顔に、手に持った本を落としてやろうと思ったが借り物なので止めた。
かわりに俺の傍らにあったペットボトルで、腹を殴る。
「いっ、てぇ~」
反動だけで起き上がった俊の腹筋に拍手だ。
「あきらさぁ~口より手、早すぎ。あ、でも恋愛面では奥手か」
仕返しとばかりに、口で応戦する俊を睨み付けると、勝ち誇ったような笑顔に出会った。
悔しくて、視線を反らす。照れながらも本のページを捲る自分は、俊には勝てないなぁとどこかで思っていた。
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