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3月21日(水・祝)
暑いはずがない……すでにタイマーをかけていた暖房は切れていて、まだ暖かいと呼ばれるには無理がある。
それでも暑くて俺は眠れないでいる。
寝返りを打つたびに、冷えたシーツに触れ、次は眠れるはずと信じながらまた眠れずにいる。そしてまた寝返りを打つ………先程からそれの繰り返しだ。
幾ら学期末となり、授業も復習が多くなったとはいえまだ終わった訳ではない。早く眠らなくては明日に支障がでるということは重々承知しているのだが……それでも眠れない。
「ふぅ……」
意を決して起き上がると、冷たい空気が肌に触れる。厚手のジャージの上からでも、その寒さが感じられる。
 
『駄目?』
可愛らしく首をかしげながら聞いてきた恵胡。思わず殴り倒してやろうかと思った気持ちに、ブレーキが掛かる。
わかっているのに……なんだか動物虐待だの幼児虐待だのをしている気分になるのだ。
 
「駄目に……決まってんだろうが」
冷たい室内に落ちた呟きは、未だに熱を放っていた。
予測がつかなかったのか?と聞かれればNOになる。何処かでその危惧を抱いていながらも、まだ大丈夫だと高を括っていたのだ。
滅多に行かない恵胡の家。10階建てマンションの7階703号室。確か妹がいたはずだと思っていたので安心していた。それが甘かったのだ。家には誰もいないんだ、っと入るなり告げられ妙な動悸がした。
部屋に通され、飲み物を持ってくるという恵胡をベッドに凭れ掛かり待っていた。
6畳ほどの部屋にベッドと小さなテレビ。テレビからはゲーム機が伸びている。確か、番組は映らないゲーム専用のテレビだったはず。
平良の家があるので、滅多には来ない。数回来た時の記憶を呼び起こす。
芳ばしい香りと共に恵胡が入ってきた。2つのカップ、ミルクと砂糖瓶。
「コーヒーで良かった?」
「暖かいものが出てきただけ進歩だな」
笑うと恵胡が少し拗ねる。
確か前、春先のまだ冷える日に来た時は氷入りのコーラが出てきたはずだ。寒い中更に寒くなるような飲み物を出され、俺と俊の集中砲撃にあったんだっけな。
恵胡が隣に腰を下ろす。
コーヒーの香りが満ちた部屋の中で、どうも気まずい雰囲気が流れる。
何かしゃべるべきだとわかっていても、いざこういう場面になると何を話していいのかがさっぱりわからない。
暫しの沈黙、二人してカップを置いた時だった。
「けっ!!恵胡!?」
急速に求められたのは。
両手はベッドに縫い付けられ、呼吸も疎かになるほどの口付け。
何度か僅かな酸素を与えられたが、十分ではない。意識がぼぉっとなってきた時に、左手が開放された。
再び降ってきた口付けと同時に、恵胡の体が足を割って入ってきた。
より深い口付けと同時に………。
「ぅん!!」
俺の太ももに乗せられていた右手が、意思を持って上昇してきたのだ。
止めようにも力が入らない。ただただ、その動作にパニックを起こしている俺がいた。
知識としては、何を意味しているのかはわかるが、どうも理解がついていかない。
熱に浮かされたみたいに、まともな思考ができない。
頭の片隅で、机の上で震える携帯電話の音が聞こえた。
離された唇からは、唾液が糸を引いていた。
「で、んわ」
他に言う事はあったのだろうが、何故だか机の上で震える電話のことを口走った。
恵胡はにっこりと笑い、駄目とだけ一言聞いてきた。
「んっ………」
恵胡の手が、俺自身を撫でると思わず声が漏れた。なんだか……おかしい。自慰をしている時も、こんなに気持ちいいと思った事………ないのに。恵胡が触れる部分が異常に熱い。
とうとう携帯は、その振動で机の上から落ちた。
『プ―――あ、御岳君ですか?ごめんなさい急に……少し話を聞いて欲しくて……また電話します。』
そこから零れた少女の声に、思わず恵胡を押し返していた。
「………電話」
「えっ??別にいいよ」
「うっさい!!さっさと掛けなおせよ!!」
思わず溢れ出そうになる思いに、俺は唇を噛んだ。何にこんなにいらついているのか……何にこんなに腹が立っているのか………。
男だろっと自分に言い聞かせているのに、涙腺が痛くなってくる。
無性に顔も熱い。
覗き込んできた恵胡の表情を見る余裕が俺には無かった。
ただ、その後は静かに俺を抱きしめて、髪を梳いてくれた。
 
あの時を思い出す……色々な種類の熱が体内に篭っているのがわかる。
俺は発散するように息をゆっくり吐くと、再びベッドに横になった。
もう一度眠ろうと瞳を閉じるが……まだ眠れそうに無い。
枕元にある携帯を取り、時間外れのメールを一通送った。
『もう寝たか?』
もう寝ているだろうが………これで起きたらいい復讐だよな、と一人笑っていた時だった。携帯に着信があったのは。
『えっ……彰どうしたぁの?』
少し寝ぼけている所為か、呂律の怪しい電話だ。思わず笑い声が漏れる。
「別に、ちょっと眠れなかっただけ」
必死に眠たいながらも話している相手に、なんだか可笑しくなる。このままこの声の中で眠ろう。勿論、あいつを起こしたままで。そう思うとなんだか睡魔が襲ってきた。
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3月20日(火)
「くっは………」
呼吸を忘れる、そうすると脳に酸素がいかなくなって意識が朦朧としてくる。苦しいようで……どこか安楽に似ている。肢体に力が入らなくなって、強く回される両手に身を預けてしまう。縋り付こうにも、上手く力が入らない。
「け………」
名前を呼ぼうにも、微かな酸素を取り込むとすぐさま唇を塞がれる。
いつだったっけ、恵胡がキスをしている時の俺を凄く好きだと言った。どうしようもなく色っぽいと。
俺にはよくわからないが。
取りあえず、世界に恵胡しか映らなくなることは確かだ。
ぼやけた意識の中で、見下ろしてくる恵胡以外誰もいなくなる。
愛しいとセーブもなく訴えてくる瞳がいい。なんとなく安心する。
 
「っ!!」
 
腕に力を込めて恵胡を押し返す。
「馬鹿……平良達が、来たら…どうすんだよ」
必死に酸素を取り込む。押し返した両手に酷く力が無い事がわかる。それでも、風に押される柳のように、恵胡は俺の腕に従った。
「う゛~~ちぇっ」
「ちぇじゃない。ここは学校」
ゆっくりと俺を壁に押し付け、恵胡はその隣に座る。
心臓が妙にバクバク言っている。酸素を急に取り入れたからじゃない。寧ろ、いつも恵胡とキスをした後は、少し鼓動は早くとも心地のよいものだ。
「だってさぁ~案外二人っきりになれるのって少ないじゃん?あ、彰明日の休日予定ある??」
「別にないけど……恵胡部活は?」
「それが無いんだよ~デートしよ、デート」
語尾にハートマークすら浮かんできそうな勢いだ。
「デートってなぁ………そうだ、お前んち行っていい??曲分けて欲しいんだけど」
「……イイヨ。珍しいね、彰がJ-POPに興味持つなんて」
はっと息を飲んだ。
ほんの一瞬だけだったけど、恵胡が見せた表情。
先程も平良達が気になった訳じゃない………こうやって時々恵胡が見せる表情から逃げているんだ。
それは雄の表情。
自分の言った内容を反芻して、思わず赤面してしまう。
「やっぱいい、平良んちにしようぜ」
「それじゃデートになんないじゃぁ~ん」
頬を膨らませて拗ねる様子はいつもの恵胡だ。
「じゃ、買い物に……」
「駄ぁぁ目。俺んちに決定。絶対着てね」
そう言うと、約束事の決まりのように、恵胡は俺の腕を掴んだ。決して強くない力だが、そこから熱が発生するように感じる。
「わかった?彰」
覗き込む笑顔はいつもの恵胡で、思わず答えに詰まった俺は首を縦に振る以外の術を知らなかった。
3月19日(月)

「へっくち」
恵胡が何とも可愛らしいクシャミを一つした。普段から兄貴の豪快なクシャミを聞いていた俺としては、ある意味新鮮であり、恵胡らしいと思った。
「お、恵胡花粉症??」
「ち、ちげぇよ!!俺は風邪。正真正銘の風邪!!」
そういえば……夜の天気予報では天気の後に明日の花粉情報が流れてたっけ。我が家は花粉症やアトピー等現代病と無縁の家なので、右から入って左に流れて行く情報だ。
「へぇ~ホントかよ。認めた方が楽だぞぉ~」
「恵胡、無理はしないで花粉対策をしていた方が苦しくないぞ」
俊と平良に詰め寄られているのに、恵胡は頑として認めようとしていない。
「そんなに花粉症って嫌なのか??」
「お、実は健康優良児彰君らしい台詞だな」
「実はってなんだよ」
何故だか貧弱に見られることが多い俺としては、俊の言葉が癪に障る。
確かに、兄貴や平良と比べると線が細いのは分かるが、俊や恵胡とはそう変わらないと思っている。むしろ、俊よりは体力がある自信はある。
「確かに、彰ってひ弱そうに見えるけど、運動できるし風邪引いたとこも見た事ないし、健康だよな」
「何とかは風邪引かない??」
俊に蹴りを入れてやる。
「それいうなら、やっぱり恵胡は花粉症じゃないか??」
「えぇぇぇぇ!!彰、どういう意味~~」
笑い出す三人に、恵胡は頬を膨らませて拗ねる。
「花粉症は現代病だし、気にせずマスクやらなにやらしたがマシじゃないか?」
進言のつもりだったが、恵胡は益々不機嫌になる。
 
「だって、マスクって邪魔じゃん……」
 
横にいる俺にしか聞こえない程度の呟き。
勿論………その声色からどんな時に邪魔なのかが直ぐわかった。
「っ………」
思わず隣にいるこの色ボケを殴ってやろうかと思ったが、直ぐに察してにやける俊がいるので俺はぐっと我慢する。
思わず赤く染まった頬を見られたくないので、俺は窓の外に視線を逃がす。
遠くに揺れる木々からは、黄色い靄が立っているのではないかという錯覚を覚えた。
3月18日(日)

いつも街には沢山の音が溢れている。それは纏わり着くようで、自然にそこにあるんだ。
出ようとしたCDショップで、思わずそれが耳に入った。好きなアーティストではない。どちらかというと、俺はもっと大人しい曲が好きだから。
それでもその曲から意識が離れなかった。
『中間地点』
その一節が妙に耳に残った。
踏み出すも何も………そう思うと、俊の言葉が胸に刺さる。あの温かな腕が別の誰かを抱きしめている情景が浮かぶ。
馬鹿みたい……歌詞に自分を重ねて酔ってしまうなんて………そう思っているはずなのに、そんなに感情的な人間じゃないはずなのに………。
財布の中にレンタルカードがあることを確認する。『日常の情景』という名前のCDを手に取った。一緒に彼女のアルバムも一枚借りる事にする。
そういえば、恵胡はどこにそんな時間があるのか、と問いたくなるほど最新ヒットチャートには詳しかったよな。少しだけ……どんな曲が好きなのか聞いてみてもいいかもしれない。
あのIPOTの中身を見てみるのもいいかもしれない……晴れた日の屋上で、一緒に同じ曲を聴く情景が浮かぶ。あぁ、きっとそれが日常の情景だ。贅沢すぎるほど愛しい日常の情景。


流漣)久々のUPです!5話を上限位に、書き上がった分をボチボチをUPしていきたいと思います~流石に日が飛んでるので月日を入れて、ただ天気だけは無視します!もう覚えていないのでw
書くこと自体も一時辞めていたので、リハビリ気分でしたら酷く短い一話です……。
突然ですが流漣は引っ越すこととなりました。
更新をしている余裕がないので、刹那の更新を四月半ばまでストップしたいと思います。
流漣に急遽連絡を取りたい方はHPのメルマガを登録いただき、そこにありますメルマガが配信されてくるアドレスに送信ください。
携帯アドに自動転送されるようになっています。
たまに写メ日記を更新しているので、生存はそちらにてw

流漣
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