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お題に挑戦しながら日々精進用
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3月26日(月)
長期休みとなると、途端に時間の使い方に迷う。
一通りの勉学は毎日行うが、それでもあまる時間をそう対した趣味も持たない自分が持て余すのは当然のことかもしれない。
だから文句をつけながらも、いつもつるんでいる彼らの訪問があるとどこかほっとしている自分がいる。
「ったく、床汚すなよ」
寝そべりながら、ポテチを食べゲームに勤しむ俊に、無駄とわかりつつも小言の一つも言いたくなる。
「あぁ~はいはい~~」
答える声よりも、画面に向かって『うっし』『うぞ!やべぇぇ』と漏らす独り言の方が気合が入っていると感じるのは間違えではないと思う。
はぁ、っと溜め息を漏らしながら俺は読みかけの本に手を伸ばす。
一人としては十分過ぎるゲームや本は、逆に一つのことに対する情熱を薄れされる結果になっていないかと自己分析などしてしまう。何でもいい、一つのことに、例えば恵胡の陸上にかける情熱のように、何かにかけることが出来たら、さぞ幸せだろうと思う。
「そういえば遅いな」
「ん、彰と恵胡?あいつら下手そうだしなぁ」
男の料理ではないが、長期休みの定番として昼御飯は手作りが多い。冷蔵庫にはふんだんな食材があるし、スパイスなども充実している。
それを見てメニューを決めるのは意外と料理を作るのが得意な俊で、作るのは毎回クジで決まった二人。
意外に料理の出来ない彰と、得意には見えない恵胡。少し様子を見てこよう、そう思い腰を浮かせた。
「どった?」
「トイレ」
どうしてそう答えたかと聞かれても意味などはない。トイレのも行くつもりだったし、態々言わなくてもいいと思ったから。
 
もしも、この時二人を見に行くと言っていたら、何か違っていただろうか?
 
トイレを済ませ、階段を降りキッチンを目指す。
ミルクの良い香りがしてくる。本日のメニューはホワイトシチューだったっけな?また手のかかるものを俊は言うと思ったものの、パンにつけて食べるあの味を思い出したら反対できなかった。
まぁ、メニュー発表の際にはまだ誰も自分が作ると思っていないので反対意見も起き難いけど。
生のままの食パンよりも、焼いたものが美味しい。オーブンレンジの音が下から響いてきた。
ふっとその音に俺は足を止める。
通常の焼きあがりを知らせるものとは少し違う。焼きあがりの後、そのままにしておくと再度呼び出し音がなる。その音だ。
二人がいるはずなのにおかしい。そんなに手が回っていないのだろうか?
不思議に思い、更に足を進めた時であった。
「恵胡……レンジ」
「大丈夫だって~もう殆ど出来てるんだし」
二人の声がしてきた。その声にほっとしたものの、なんとなく不思議な会話の流れに思わず首を傾げる。
階段を降り切った所を数歩行くとキッチンに続く硝子張りの扉があるが、降りたばかりでは死角となり中を窺うことはできない。顔を上げて飛び込んできたのは、隣接するリビングの扉。同じく硝子張りになっており、中の様子が一望できるようになっている。
そこにあったのは、大型薄型液晶テレビ。電源は入っていないが………鏡としての役割は十分であった。
カウンターキッチンの向こう側に映るのは良く知った二人。
先程まで、一緒にゲームに興じていた相手。
その二人が………口付けをしていたのだ。
どういうことだ??
「けいっ……」
罰ゲームなどで同級生が口付けをするのは見た事があるが、それはそんなレベルではなかった。
映しの悪いテレビの反射でもわかる。それは濃厚なものであった。
思わず上げそうになる声を、俺は手を当てて抑えた。
どういうことだ??何が起きている???一体二人は何をしている??
そして、自分は何を見ている?
途端に顔に血が昇ってきた。
いけないものを覗き見した子供の気分だ。好奇心と背徳心が入り混じった奇妙な気分。
父と母のセックスを間違えて覗いてしまった時に似ている。
微かに響いてくる水音。その音に反応する自分は、あの頃のようにもう子供ではなかった。
俺は耐え切れなくなって、来た道を引き返す。
彼らに気付かれないように、足音を忍ばせて……。
「お、長かったな。大??」
「自分のうちで何しようと勝手だろうが」
出迎えた俊に、自然に反応できた自分に喝采を送りたい。
顔が赤いかもしれない。俊の顔がまともに見れない。
「一時トイレは使用禁止かぁ~あ、でも平良の家は一階にもトイレあったな。こういう時広い家って便利だよなぁ~」
一階という俊の言葉に、思わず反応してしまった。彼はゲームに夢中だっただろうか?ちらりと視線を上げると、相変わらず複雑なコマンドを打ち込むことに熱中していた。
一階で行われていたこと………夢な、はずはない。
俊に相談しようかとも思った。でもこんなこと………言えるはずがない。


流漣)思ったより早く平良君にばれてしまいました。どうやってばらそうか悩んでいたのですが、見事なお題がここにあったので、ばらしちゃいました。さて、自分の首を絞める結果にもなった流漣です。どうこの後、4人を仲良くさせるか……。
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3月25日(日)
日曜の朝から呼び出されるといえば、最近こいつしか思い浮かばなくなってきた。
いつものように入った駅前のマックで、お会計は一緒に、と言う俊に文句を言おうか言うまいか迷うのは、昨日俊が恵胡と一緒にいたからだろう。
トレーを持って、ソファー作りの一机を占拠する。
「取りあえず、昨日は大変だったんだぞ」
予想通り。
「訳もわからず、って知っちゃいるけど知らないふりのまま、凹みまくっている癖に遊ぼうと抜かす恵胡と一日一緒にいるのがどれだけ苦痛だったかわかるか??」
勢い良く言い、勢い良く食べる俊に言い返す言葉がない。
「いつも、悪いな……」
素直に言葉が零れる。
付き合うと自覚するに至るまで、俊には相談に乗ってもらったり、二人の姿に心配をかけたりと迷惑ばかりかけている。普段はふざけた態度が多い彼だが、面倒見がいいのも確かだ。
「………なんか、彰が素直すぎるのも気持ち悪いな」
人が素直になれば……俺は思わず俊のトレーにあるポテトを数本口に入れた。
「あっ!!」
「口は災いの元だ」
自業自得と言わんばかりに睨むと、俊も拗ねたように睨み返してくる。
「本当に迷惑ばっかかけてると思ったから、素直に謝ったんだぞ」
言っていて、なんだか気恥ずかしくなる。
赤くなった俺とは対照的に、俊はキョトンとしていた。
「マジで彰気にしてたんだ。別に対したことじゃねぇのに」
ケラケラと手を振り笑われたら俺の立場はどうなるんだ……。
「俺だって迷惑かけてるし、お互い様?まぁ、逆に相談がなくなると寂しいからさ」
「そういうものか?」
「そそ、頼られてるってなんか心地よくないか??」
そういうものなのだろうか?特に俺、一番下だろ~っと暢気に言う俊を見ながら、なんとなく気が紛れたのは確かだった。
3月24日(土)
近所から苦情が来ても可笑しくない、と初めに気付いた時思った。
桜の名所でもあったので、この季節は夜桜に興じる人々も多い公園。その中で目的の場所を見つけられるのか不安だったが、その心配は杞憂に終わった。
サラリーマンや大学生などと違う、どこかエネルギーに溢れすぎた一団。あぁ、こいつら初めて酒を飲む集団なんだろうな、っと周りの大人達は思っているに違いない。
「おぉ~~いいんちょだ!」
鮮やかな短髪がこちらに手を振る。数人が釣られて振る返り、驚いた表情を浮かべている。参加の意思表示はしていたはずなのだが……実際に、自分がこの場にいることを想定していた人物がどれだけ少ないかなどは、聞かなくてもわかる。
「浦田マジで来た!!おい、こっち座れよ!」
中学校の頃には無かった気さくな態度に、苦笑を漏らす。
勿論、その隙を与えなかったのは自分なんのだろう。
転がるビールやらチュウハイの缶。そこから流れる僅かな水溜りを踏まないように気をつけながら、呼ばれた場所を目指す。
「いいんちょ、ぜってぇ来てくれると思ってた!!」
良く見ると頬が微かに赤い結城が、背中を何度も叩く。おやじのような態度に笑うと、珍しいものを見た表情とかち合う。
「マジ、いいんちょ、別人みたいだよな」
「うんうん、あの大魔神浦田とは思えないぜ」
失礼なと思いつつも、本心から怒る気にはなれない。
「大魔神はないだろ?」
「あの頃のいいんちょ、超怖かったもんなぁ~」
「そうそう」
覚えに無い。声に出して荒げたこともないし、嫌味を言ったこともないはずだ。なのに影では大魔神と呼ばれていたようだ。他の奴らも大魔神を連呼する。
「いいんちょ、無自覚かもしんねぇけど、あの大きな溜め息、めっちゃプレッシャーだったんだぜ」
「そそ、議題が進まない時の溜め息。その時の呆れ100%な表情」
「思い出しただけでも………」
3人揃って『おぉ、こわっ』とハモられれば、思わず溜め息を漏らさずにいられないだろう。
「おぉ~溜め息さえ穏やかだ」
結城が顔面ギリギリまで顔を寄せるので、思わず後ろに引いてしまう。
「なんか、可愛げがあるよな」
可愛げってなぁ………酔っ払い集団め。
「色気がある!」
「そうだ、色気だ!!」
この3人は息もピッタリだ。そういえば、中学時代もこの3人はこんな調子だったような気がする。もっとも、3年でのみ3人一緒だったので、受験の邪魔だとしか思った覚えが無いが。
「色気!!いいんちょ、恋人出来たでしょ!!」
確信を持った結城の指先に、思わず眉を寄せる。
傍にあったぬるいビールを開けると、一気に呷った。ビールは好きではないのだが、なんとなく昨日のやり取りを思い出して飲みたい気分になったのだ。
「お……レッドカード。いいんちょ、喧嘩中かな?」
ひそひそ話になっていない3人の会話を聞きながら、俺は隣のグループに移った。
結城の洞察力に驚かされながらも、ポーカーフェイスを自負していただけに少しショックだった。
Gパンに入れている携帯は昨日から震えない。
「あの、馬鹿」
見上げる空から、白い花弁が、ひらり……ひらりと落ちてきた。
明日、電話してみよう。桜が散る前に、一緒に見に行こう。勿論、昼間にだが。


流漣)52.手紙のネタです。
3月23日(金)
それを決める権利は恵胡にない。
普段から言い合いというか、言葉遊びのような咎めあいはあったが、本気で腹が立つ。
「駄目っ!!絶対駄目」
「なんの権利があって恵胡がそれを言うんだ?」
意識せずとも、怒りで声が低くなる。恵胡も負けずと、こちらを睨みつけてくる。
理不尽な怒り、常識的に考えて可笑しいと思ったことが正しいかのように蔓延していることへの怒りに似ている。
「彰と俺、付き合ってるだろ??」
「……意味がわからない」
それとこれが、どう関係があると言うんだ?
確かに、俺と恵胡は付き合っているという関係にあることは、認めよう。恥ずかしいが。
それでも、恵胡に俺の行動を制限する権利は何処にも無いはずだ。ましてや、俺が誰と遊びに行こうと、それを止める権利が何処にある??
「………折角付き合いだして初めての週末じゃん。二人っきり……じゃなくてもいいから、一緒にいたいしぃ……」
それは恵胡の意見であって、感情は汲み取るが、そこから判断するのは俺自身だ。
「別に最初の週末だからって一緒にいなくても、次の週末があるだろうが。それに、お前と二人っきりじゃなくても危ない」
我慢できなかったし、とシャアシャアと言ってのける人間だ。例え平良の家で四人でいつもの週末を過ごしても、機会を狙ってくるのは目に見えている。
「それに、俺だって前から楽しみにしていたことなんだ。兎も角行くからな」
不貞腐れを決めている恵胡を置いて、俺はさっさと駅へ向かう。帰宅ラッシュも重なっているので、十分な数の電車はある。立ち止まった恵胡は後の便で帰るつもりだろうか?
ホームで待っていると、隣に恵胡が並んだ。
喧騒と沈黙。時間が惜しいとばかりに話す人々と、一人佇む人々。
今の俺らは後者に属しているのだろう。制服が同じでなければ、二人が連れ立っていると思う人物さえいなくなるのかもしれない。
「わかってるけど……俺は嫌だ」
ホームに電車が近付くアナウンスが流れた時だった。ポツリと恵胡が漏らしたのは。
なんでわかってくれないのか………歯痒くて、俺は唇を強く噛み締めた。


流漣)再び5話分できたのでUPです。しかし……お題って難しいですね。先の方にイノセンスってのがあったのですが、どうしてもD灰しか思いつきません(´ω`)ユウちゃぁぁぁん♪
3月22日(木)
「質問がありまぁす」
上げられた手に会話は途切れ、俺ら3人は恵胡を向いた。耳にきっちりと付けた右手がなんだか可笑しい。
午前中は昨夜の所為か、居眠りと覚醒を繰り返していたが午後になって調子が出てきたようだ。
「はい、恵胡君、先生に何か質問かな?」
途端に気取る俊も俊だ。そこにあるはずがない指示棒が見えてきそうだ。
「百戦錬磨の俊様、迷える子羊をお救いくださいませ」
手の甲に頬を寄せながら、更に悪乗りする恵胡に俺と平良は目配せをする。
「おぉ、可哀相な子羊よ、して、悩みとはいかなることかな?」
「えっと……例えばだよ、ある子と一緒にいて、そこに他の女子から電話が掛かってきたとするじゃん?そん時にすっっっごく泣きそうな顔して睨まれたら、それって気があるって思っていいってこと??」
ここで殴らなかった自分に敬意を示したい。
平良が聞き入っていてこちらの様子に気付かなかっただけでも、幸いと思うべきか………恵胡に意識を集中させているようで、ちらりとこちらを見ている俊の視線が痛い。
妙な含み笑いと、頷きが胃に来る。
「そぉだなぁ~そりゃ嫉妬だろ?押しちゃえモードだな」
「そうか?女の意地ってのもあるだろ?」
素直な疑問なのだろうが、ここでそれを言った平良に拍手を送りたい。
「なるほど、自分といるのに、他の女を見たら彼女じゃなくてもプライドが傷つくよな」
妙に納得されたような格好を取っているが、俊のこちらを見る瞳はそう語っていない。
「でも、流石に泣くまではしないと思うぞ」
「そう言われればそうかもな……俊の方が場数は多いだろうからな」
あぁぁぁぁ!!何納得させられてるんだ……平良の頷きに更に力を得たのか……恵胡の表情が怖い。無敵な位に笑顔なのが……怖い。
 
「あ~~き~~ら♪」
終了式及びに離任式を明日に控え、卒業式ほどではないが忙しい生徒会。授業が終わったら即効で帰りたい気持ちに襲われながらも、律儀に顔を出してしまった為に暗くなった辺り。
わかっていても教室を覗く勇気は無かった。
なのに………玄関で待っているなんて反則だと思うが………。
「帰ろ~」
反論も抵抗も出来ず、恵胡の隣に並ぶ。
日も長くなった所為か、暗くなる頃には既に部活動は終わっており他の生徒の姿を確認できない。
するりと、ごく自然に隣にいた恵胡の指が絡まりついてきた。
「おい、ここ校内」
「ちょっとだけ、寄り道」
離そうとした指に力を込められて、強く引かれる。明かりの無いクラブハウスの裏に手を引かれる。
「恵胡!」
小声で嗜めるが、効果は無い。
数歩行ったところで、強く抱き締められた。
「ねぇ、彰嫉妬してたの??」
「なっ、何の事だよ……俊の勝手な意見だろ」
耳元で呟かれる言葉。吐息は熱い。
「ずっとヤキモキしてたの?」
「だから………」
否定しようとした自分の唇が震えていることに気がついた。
寒い訳じゃない。寧ろ、恵胡の体温が染み入ってくるようで暖かい。それなのに………。
ったく、この馬鹿は。
『離れていくよ』
背中に腕を回し、強く強く引き寄せる。唇はまだ震えている。それは先程とは違う種類だ。
あぁ、こいつ、最初は恋人未満の友達でもいいって言って俺の中に入ってきたはずなのに………いつの間にこんなの侵食しやがったんだ?とんだペテン師じゃないか。
「嘘つき」
「えっ?」
「今はそれでいい、って言ったのは恵胡だろ?」
「う゛……だって我慢できなかったしぃ~」
恵胡らしい言い草だと、思わず声に出して笑った。
本当に、とんだ詐欺師だ。
上位に立っているつもりで、いつの間にか手の中に収められていたのは俺の方だ。
「もうちょい、俺の速度に合わせて我慢してくれると嬉しいんだがな」
抱き着いていた恵胡を引き離し、その襟を掴んで無理矢理に引き寄せる。震える唇に………。
まだ言葉に出来るほど、俺の唇は落ち着いていないんだ。だから、せめてその思いが伝われば良いと………。
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