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お題に挑戦しながら日々精進用
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4月15日(日)
泊まりに来い、だなんて間違えても言えない。まだ心の準備が整っていないから。
それでも少し後悔してしまうのは、ガランとした音の無い家の中を実感してしまった所為だろう。
家の中にいるのに、馬鹿みたいにウォークマンをつけている。パソコンからUSBケーブルを使って、データを転送するタイプの小型機。
先程急に音が止まったと思ったら、充電が切れてしまったらしい。
充電の為にパソコンを起動するのも面倒臭く、俺はリビングのソファーに埋もれたまま天井を眺めていた。
兄貴に会いに、両親が一泊二日で出かけたのが昨日。狭い大学生の一人暮らしに両親が泊まれるはずもなく、近くにホテルを取る事にした。久々の夫婦水入らず。一緒に出かけたがる両親が、珍しく俺を置いていった。
寂しいと思うほど子供だとは思っていない。
それでも……広い家に独りきりなのは、世界に取り残された気持ちになる。
妙に感傷的になっているのが、馬鹿馬鹿しくなり俺は部屋に戻る事にした。
その時………棚の上に置いてあった鏡が目に入った。
写っていたのは俺。
地で微かに茶色付いた髪の毛、少し猫毛が入っているので幼く見せるから気に入っていない。
運動をしない所為で、四人の中で一番白い。
中間に位置する身長、少々軽い体重は骨っぽいイメージを与える。
母親似と言われるが、コロコロと鈴を転がしたようにしゃべる少女達とは似ても似つかない。
目を細めても、大口を開けても……照れるが微笑んでみても、やっぱり俺は男だ。
こんな俺の何処に欲情する要素があるのだろうか??
自分をおかずに抜けと言われても………ノイローゼになりそうだ。ならば恵胡は??想像が付かない。
鏡の傍に置いてある、母親の口紅。淡いピンク色は、年齢としては若作り過ぎる。それでも、カジュアルでありながら、少しの女性らしさを出した服と、母は好んで組み合わせる。
蓋を取り、自分の唇に押し付けてみる。スッと横に引くと、そこだけ薄く色付いた。元の色のほうが赤い位だ。
はみ出ないように気をつけて塗ると、益々顔色が白くなり病的だ。
「……似合わねぇ」
馬鹿馬鹿しくなり、ティッシュで乱暴に拭き取る。
それでも微かに口紅の成分が残っている気がする。無性に恵胡のキスが恋しくなった。


流漣)本日は4日分UP。昨日UPし終わって気付いたんですが、一ヶ月差が付いていたとは……やらなきゃいけないことも、やりたいこも一杯あるなぁっと感じる今日この頃です。
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4月14日(土)
親に貰った体に穴を開けるなんて、俺には理解できない行為ではある。まぁ、手入れが面倒くさいという理由もあるが。
少し伸びた茶色い髪から、時よりキラキラと光を反射する物体がある。目立たない医療用ポリプロピレン製の物を学校の中だけでもしていてくれれば良いのだが………勿論、それを口に出すとまたおやぢだの何だの言われるのがわかっているので、黙っている。
輪になったのが左耳に一つ、銀色の丸い小さなのが両耳に一つずつ。
俊の瞼に突然今日から現れたのだ。
昨夜開けたものだそうだ。自慢げに部屋に入った途端見せ付けてきた。後から現れた恵胡にも、何度も頭を振ってアピールしている。
「でも、よくよく考えると、俊がピアス開けていなかった方が不思議だよな」
「茶髪に着崩した制服、チャラチャラした女性関係………ピアス位してても可笑しくない感じだな」
恵胡がわざとらしく指差して笑っている。
「不純同性交際中の恵胡君に言われたくないよなぁ~」
「俺らは純情ララバイだぜっ!!」
「意味がわからない」
コンマ何秒で突っ込みをいれてやる。二人っきりでしかも、誰もいないという確証が持てる場所意外で交際しているだの言わない、くっ付いてこないと約束したはずだが………。
笑顔の意図を汲み取ってか、恵胡が途端に小さくなる。
「メンド臭そうだな」
平良が珍しそうに、俊の輪になっているピアスを指で弾いている。
「痛くねぇの?」
「う~ん。なんかくすぐったい感じ??」
その言葉に安心したのか、平良は触るのを止めるつもりはないらしい。
 
「………感じねぇの??」
 
恵胡爆弾が投下された。
平良の指の動きが止まる。俊の顔が見る見る嬉しそうに唇を持ち上げる。俺は……拳を振り落とす。
「彰ぁぁ~今の本気だったっ!!」
「当たり前だ。この色呆け」
「何何~~恵胡は耳が弱いのか??」
俊が四つん這いで恵胡に近付き、前から抱きつくようにして口を耳元に寄せる。
溜め息を漏らす俺を、心配そうに平良が窺っている。何も……心配する事などないだろうに。
「いけませんわ、俊様………私には心に決めたお方が………あれぇ~~」
そのまま俊が抱きつき、恵胡が後ろに倒れる。相変わらず、時代の入り混じったやり取りだこと。
「なんだ、全然弱点じゃねぇじゃん………ふむ、てことは」
恵胡から離れた俊が、こちらに向きなおした。
歯を見せながら、持ち上がる唇。
「………くるんじゃ、ねぇ!!!」
ゴ●ブリのようにカサカサと両手両足を動かす俊から、俺は全速力で逃げる。
平良の部屋の中を。
勿論、その後自分の部屋で暴れまくる俺らに平良の雷が落ちたのは言うまでも無い。
4月13日(金)
他に誰がいるんだと言うんだ……こいつは。
「だからぁ~違うってばぁ~~」
暗い夜道を付いてくる犬みたいな奴を、俺は振り向きざまに蹴ってやった。
反応がいい所為で、クリーンヒットは免れたようだがそれでも痛そうだ。ざまぁみろ。
「うぅ~~彰、本気で蹴ったでしょ」
「TOPを考えないお前が悪い」
「だから、俺じゃないってばぁ~」
涙目になりながら、恵胡は見上げてくる。尖った唇とか、寄せられた眉とかが益々犬っぽさを強調している。
恵胡じゃないなら、誰がするというんだ。
それに何より………。
「恵胡じゃなくても、お前の所為だ」
「えぇぇ~~超理不尽じゃねぇ??」
もし本当に恵胡じゃなかったら、それはそれで嫌過ぎる。
まさか、満員電車で男の俺が痴漢にあうなんて、世も末すぎる。
考えただけで、屈辱的な怒りが湧き上がってくる。それならば、恵胡がしたのだ。恵胡ならば、考えられないことではない。
「いいからそうしろ!!」
無実を訴えていた恵胡を無理矢理黙らせる。
「………確かに俺の所為かもな」
表情を曇らせて、恵胡は下を向く。傷ついた表情に、俺は自分が言っていた理不尽な台詞を思い返す。あぁ、俺ってなんて自己中心的な人間なんだろうか……嫌悪の渦が襲ってきそうになる。
「こんな色っぽい彰だから、いつ何があるかわかんないもんな。俺が守んないと!!!」
……………こいつやっぱり阿呆だ。
痛めた胸の賠償責任は取ってもらわなくては……盛大な溜め息を付くが、恵胡は無邪気に笑っていた。
「うん、彰、フェロモンムンムンだもんなぁ~~」
4月12日(木)
「紺のハイソックスって萌えるよな」
やる気のなさそうに、俺ら四人は壁に凭れ掛かりバレーに興じる同級生を眺めていた。
さぼりではない、体育の授業中で俺らのチームが現在審判に当たっているだけだ。
そう人数のいる仕事でもないので、あぶれた俺らは壁際に陣取っているのだ。
体育は白ソックスという決まりがあるので、現在この体育館の中で体育をしている生徒は皆白い靴下だ。俊はどの姿を見て、そう漏らしたのだろうか?
「皆白だぞ」
「はぁ?当たり前だろ。体育だし」
俊に何言ってんだという仕草をされると、なんとなくムッとする。勿論、隠すつもりも無く表に出すと、俊が一瞬固まるのが可笑しい。
「彰ってほんとニブチンだよな」
「なんだよ、それ」
「きづかねぇの??うちのクラスの女子、体育ん時だけ白に履き替えてるんだぞ」
普段の生活での彼女達の服装を思い出そうと努力する。指定のブレーザーやプリーツスカートは思い浮かぶが、足元は上手に描く事が出来ない。
「本当に、女子って大変な生物だよな」
平良も同意してか、コートの中にある細い白い靴下を目で追っていた。
「別に俺は白でも紺でもいいけどなぁ~」
恵胡は特に興味がないらしい。俺も同意の意味を込めて、軽く頷く。
「ノンノンノン!!!!お前らに男の浪漫がわからないのか?」
急に水を得た魚のように、俊の言葉に張りが生まれる。もう少しスペースがあれば立ち上がって、腰に手でも当てていただろう。だが、所詮はあぶれ軍団。コートの中に入らないように、背筋を伸ばすだけに終わった。
「浪漫??」
話の雰囲気を感じ取ったのか、恵胡の顔が生き生きとしてきた。
つい数ヶ月前まであった純情イメージなど、今ではそんな風に思っていたのが恥ずかしい位だ。恵胡は色馬鹿だと常々思う。
「そうだよ、恵胡君!!紺のハイソ!!想像してご覧………紺のハイソだけを脱がし忘れた姿をっ!」
拳を突き出して何を言うかと思えば………くだらなさに、溜め息を漏らす。しかし、いつもならばハモりそうな平良の溜め息がない。ふと見ると、平良の耳朶が赤い。アタック中の少女の姿にでも置き換えてみたのだろうか?
そんな平良に、もう一つ溜め息が漏れた。
「奇才現る!!俊、お前ってマジで天才なんじゃないのか??で、紺のハイソってどこ行けば売ってるんだ??」
「女子用ならそこらどこにでもあるだろうが、足のサイズがないかもな」
ちらりと二人して………。
「おい、どこ見てんだ??」
にっこりと笑うと、相談したように二人の目玉が泳ぐ。
全く、何を考えているのか……もし、恵胡が紺のハイソックスだけの姿になったら??
眼球運動をしているような恵胡を上から下までゆっくりと見た。
「………どこが萌えるんだ?」
どうやら俺には想像し難い趣向らしい。
4月11日(水)
こいつはどうして、そう一々考えすぎるのかなぁっと思う。
「彰~~~今日は離さないんだからねぇ~」
俺は恵胡に寄りかかるようにして、いつもの屋上に座っている。首筋に擦り寄ってくる様子は、まるで犬だ。
昨日、五限目をサボったことで、恵胡は大層心配したそうだ。浮気に始まり、拉致、監禁、ストーカー被害、パワーハラスメントなどなど………昨日の帰り道はどれだけ心配したかを聞かせられ続け、正直ゲンナリしてしまった。
朝一で岡野に真相を確かめに行く、と駆け出しそうな恵胡を押さえるのには本当に苦労した。
「いっ!!!!恵胡!!」
ちゅ、と音を立てて、恵胡は首から唇と離す。何かの本で、音を立ててフレンチキスをする奴は節操が無いと聞いたが本当だろうか?
「ん~?」
暢気な返事の次には、舌が首筋を這い出した。
「恵胡っ!!」
止めようと思ったが、声を出すよりも唇を噛む方を俺は選んだ。
舌先でちらちらと触れてくる。触れられた部分からこそばゆいような感覚が、全身に伝わっていってしまいそうだ。
 
ゴォォン!!!
 
扉が一つ大きな音を立てる。その振動がコンクリートの壁を伝い、響いてくるようだ。
一瞬の沈黙の後、扉が開いた。
「お、やっぱいちゃついてたか」
勿論、入ってきたのは俊。ということは、先程の振動の犯人は俊なのだろう。
「俊~~どういうつもり??」
「屋上に入ってきちゃいけねぇって決まりはないだろ?それに、一応気を使って間をやった俺に対する敬意の言葉は無いのか??」
「少しはムード考えろよなぁ~」
恵胡の腕の中から離れようとするが、腰に回された両手から力が抜けることはない。
「恵胡」
凄んで見せるが、全く効果が無い。離すつもりがないらしく、腕にこもった力は本気モードだった。
「うわ~見せ付けてくれちゃうねぇ~、ほらほら、平良もちゃんと見てみろって」
俊が入り口を手招きするが、そこから人が現れる気配はない。平良が出てくる前にと益々腕の中でもがくが、本気モードの恵胡を払えるほどの力がある訳も無く、俊に手を引っ張られた平良が屋上へと入ってきた。
素早く俊が扉を閉める。屋上への扉が開いているところを見られる心配は勿論、平良が逃げないようにもだろう。
真っ赤になりながら、空中に熱を逃すかのように視線を固定している平良を直視することができず、俺は俯いてしまった。
「えっと………TPOは考えた方がいいと思うぞ」
俊はきっと鬼の首を取ったような顔をしているんだろう。恵胡はそれに悔しそうにしているのだろう。腕の力が弱まったので、俺は恵胡の前に向かい合うように座りなおす。
「平良連れてくるなんて反則だろ~」
「ばぁ~か。元々ここの鍵見つけたの俺だろ?誰連れてこようと勝手だろうが。ま、優しい俊様は今度からいちゃつく馬鹿っぷるの為に合図を送ってから入るようにしてやる思慕の深い人物だからな」
もう少し気を使った合図を考えてくれてもいいところではないだろうか。いや、それよりももっと前に………。
「恵胡、これから学校があってる時は俺の両手が届く範囲には入ってくるな」
ここは学校だ。勉学の場だ。そこでいくら付き合っている、という関係であろうと、欲に任せて触れ合ってていいはずがない。
「えぇぇぇぇぇ!!彰、俺に死ねと!?」
「その位で死ぬか!!」
軽く頭を殴ってやると、捨てられた犬のように瞳を潤ませ、瞬きを繰り返しながら見上げてきた。
その様子が可笑しいのか、俊は笑っている。平良は呆れた溜め息を大きく零すと、がっくりと項垂れてしまった。
無性に俺は、この屋上からお前は幼児かと叫びたくなった。
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