お題に挑戦しながら日々精進用
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4月13日(金)
他に誰がいるんだと言うんだ……こいつは。
「だからぁ~違うってばぁ~~」
暗い夜道を付いてくる犬みたいな奴を、俺は振り向きざまに蹴ってやった。
反応がいい所為で、クリーンヒットは免れたようだがそれでも痛そうだ。ざまぁみろ。
「うぅ~~彰、本気で蹴ったでしょ」
「TOPを考えないお前が悪い」
「だから、俺じゃないってばぁ~」
涙目になりながら、恵胡は見上げてくる。尖った唇とか、寄せられた眉とかが益々犬っぽさを強調している。
恵胡じゃないなら、誰がするというんだ。
それに何より………。
「恵胡じゃなくても、お前の所為だ」
「えぇぇ~~超理不尽じゃねぇ??」
もし本当に恵胡じゃなかったら、それはそれで嫌過ぎる。
まさか、満員電車で男の俺が痴漢にあうなんて、世も末すぎる。
考えただけで、屈辱的な怒りが湧き上がってくる。それならば、恵胡がしたのだ。恵胡ならば、考えられないことではない。
「いいからそうしろ!!」
無実を訴えていた恵胡を無理矢理黙らせる。
「………確かに俺の所為かもな」
表情を曇らせて、恵胡は下を向く。傷ついた表情に、俺は自分が言っていた理不尽な台詞を思い返す。あぁ、俺ってなんて自己中心的な人間なんだろうか……嫌悪の渦が襲ってきそうになる。
「こんな色っぽい彰だから、いつ何があるかわかんないもんな。俺が守んないと!!!」
……………こいつやっぱり阿呆だ。
痛めた胸の賠償責任は取ってもらわなくては……盛大な溜め息を付くが、恵胡は無邪気に笑っていた。
「うん、彰、フェロモンムンムンだもんなぁ~~」
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