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4月14日(土)
親に貰った体に穴を開けるなんて、俺には理解できない行為ではある。まぁ、手入れが面倒くさいという理由もあるが。
少し伸びた茶色い髪から、時よりキラキラと光を反射する物体がある。目立たない医療用ポリプロピレン製の物を学校の中だけでもしていてくれれば良いのだが………勿論、それを口に出すとまたおやぢだの何だの言われるのがわかっているので、黙っている。
輪になったのが左耳に一つ、銀色の丸い小さなのが両耳に一つずつ。
俊の瞼に突然今日から現れたのだ。
昨夜開けたものだそうだ。自慢げに部屋に入った途端見せ付けてきた。後から現れた恵胡にも、何度も頭を振ってアピールしている。
「でも、よくよく考えると、俊がピアス開けていなかった方が不思議だよな」
「茶髪に着崩した制服、チャラチャラした女性関係………ピアス位してても可笑しくない感じだな」
恵胡がわざとらしく指差して笑っている。
「不純同性交際中の恵胡君に言われたくないよなぁ~」
「俺らは純情ララバイだぜっ!!」
「意味がわからない」
コンマ何秒で突っ込みをいれてやる。二人っきりでしかも、誰もいないという確証が持てる場所意外で交際しているだの言わない、くっ付いてこないと約束したはずだが………。
笑顔の意図を汲み取ってか、恵胡が途端に小さくなる。
「メンド臭そうだな」
平良が珍しそうに、俊の輪になっているピアスを指で弾いている。
「痛くねぇの?」
「う~ん。なんかくすぐったい感じ??」
その言葉に安心したのか、平良は触るのを止めるつもりはないらしい。
 
「………感じねぇの??」
 
恵胡爆弾が投下された。
平良の指の動きが止まる。俊の顔が見る見る嬉しそうに唇を持ち上げる。俺は……拳を振り落とす。
「彰ぁぁ~今の本気だったっ!!」
「当たり前だ。この色呆け」
「何何~~恵胡は耳が弱いのか??」
俊が四つん這いで恵胡に近付き、前から抱きつくようにして口を耳元に寄せる。
溜め息を漏らす俺を、心配そうに平良が窺っている。何も……心配する事などないだろうに。
「いけませんわ、俊様………私には心に決めたお方が………あれぇ~~」
そのまま俊が抱きつき、恵胡が後ろに倒れる。相変わらず、時代の入り混じったやり取りだこと。
「なんだ、全然弱点じゃねぇじゃん………ふむ、てことは」
恵胡から離れた俊が、こちらに向きなおした。
歯を見せながら、持ち上がる唇。
「………くるんじゃ、ねぇ!!!」
ゴ●ブリのようにカサカサと両手両足を動かす俊から、俺は全速力で逃げる。
平良の部屋の中を。
勿論、その後自分の部屋で暴れまくる俺らに平良の雷が落ちたのは言うまでも無い。
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