お題に挑戦しながら日々精進用
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4月19日(木)
坂槻倫(サカツキトモ)と彼は最初に自己紹介をした。
小国先輩の従弟で、今年入学してきた一個下だ。選挙が終わり次第、生徒会役員に立候補したいのだと言う。人懐っこい笑顔と、それでいてどこか冷静に感じる瞳は小国先輩の親族だと感じられる。
「浦田先輩、先輩は生徒会長に立候補しなかったんですか?」
投票用紙の準備、それに伴っての委員会開催時の書類作成に追われていた。賢い子なんだろう。即戦力として、慌しい生徒会室の中でも何か仕事を見つけて励んでいる。
俺の目の間に座り、坂槻は資料のページ取りをしている。
左から右に、一枚ずつ用紙を取りながらしゃべっていても、その速度が落ちる事はない。
「俺が?向いてないからな」
「ふ~ん、確かに先輩は裏番長って感じですよね」
先日岡野に言われた言葉も思い出し、苦笑してしまう。自分では全くそういうキャラクターだとは思っていないからだ。
「確かに表立って動く人間ではないが、番長って柄だと思っていないんだけどな」
責め立てるようで、どこか優しい声。あぁ、自分は今、下級生と話しているんだと無意識に声色を使い分けていた。
なんだかそのことが不思議だ。
「そうですね、浦田先輩は裏番長と言うより、影で王を操る王妃って感じですよね」
小国先輩に目許が似ている。にっこりと坂槻が笑う。
あまりに綺麗に笑うものだから、俺は反撃できなかった。下級生相手に大人気ないと思ったのもあるが。
一本取られたとはこういうことを言うのだろうか?わからない。
最後の一枚を取り終わると坂槻は次の仕事を探して、生徒会室の中をうろうろとしだした。
「浦田!」
仕事も終わり、一人、二人と生徒会室からいなくなっていた。恵胡の部活が終わるまでまだ時間がある。ゆっくりと室内の片付けを行っていたら、小国先輩から声を掛けられた。
「先輩、まだ残っていたのですか?」
「失礼だな。一応まだ生徒会長なんだぞ」
「上司が早く帰らないと、部下が帰れない、っと語っていたのはどこのどなたですか?」
「そんなこと言ったか??」
調子のいい人だ。上弦の月のように、瞳が持ち上げられる。確かに、坂槻は小国先輩の親族なんだと思った。
「どうしたんですか??」
「いや……倫が何か言ってなかったか?」
「困った従兄とかですか?」
小国先輩の持っていたプリントで、頭を叩かれる。
ぺにょっと安物の紙らしく萎れ、痛みも無い。
「いやさぁ~あいつ結構性格きついから、どうだったかなぁって思ってな」
性格がきつい??何かの冗談だろうか。人の間を泳ぐように渡りながら、仕事を見つけては手伝う姿はとても好印象だ。もう直ぐ生徒会の一員になると思うと、とても心強い。
潤滑油のように、場を和ませ、人と人との軋轢に滑り込む存在が一人いると、組織とは自然と上手くいくものだろう。現在は小国先輩がその役を占める割合が大きい。岡野も柔らかなタイプだが、潤滑油となると少し真面目過ぎる。
「そうですか?いい奴だと思いますけどね」
「そうか………それならいいんだけどさ。従兄の欲目というか、ガキの頃からにいちゃんにいちゃんって寄って来る存在だったから可愛くてさ」
小国先輩が照れたように頬を掻いている。
「残ってる浦田達に迷惑になるかもって思っても、つい倫を喜ばせてやりたくてさ」
「心配する人物ではないと思いますよ。俺は好きです」
「そうか」
大人っぽいところがある人だとは思っていたが、今現在は、彼はとても親父っぽい。自分の子供の話をしている上司みたいだ。
「そうです」
念を押す為にもう一度強く言う。少しでも、小国先輩が余計な心配をしなくていいようにも。
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1年ほど放置でした(ぁ)
ごめんなさい。少しずつですが更新再開しようかと……88まではきちんと1年前書いていたのにUPしていませんでした。89からは1年ぶりなので若干文体変化してるかもです。
日付は去年のを採用して、祝日系も去年の手帳見ながら書きます~天気は今年のになる可能性大ですがw
取り合えず、ちょっとずつ!
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1年ほど放置でした(ぁ)
ごめんなさい。少しずつですが更新再開しようかと……88まではきちんと1年前書いていたのにUPしていませんでした。89からは1年ぶりなので若干文体変化してるかもです。
日付は去年のを採用して、祝日系も去年の手帳見ながら書きます~天気は今年のになる可能性大ですがw
取り合えず、ちょっとずつ!
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