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4月24日(火)
「近場でいい、露天風呂付き離れに泊まりたい」
まず近場という段階で無理だとは思わないのだろうか?俺達の住む町を含めた観光雑誌。
どう見ても周辺に温泉マークはない。
あっても健康ランド的な温泉地とは程遠いものだ。
「嫌だ」
「えぇぇぇぇ!!」
「まずは第一にお金が無い、そして、恵胡と二人っきりなんて危険すぎる」
前者は勿論だが、後者は切実だ。
思った以上に性春真っ盛りだったこの馬鹿に、貞操の危機を感じるここ最近。
「う゛………」
図星だったのか、一気に恵胡の勢いが収束していく。
付き合って一ヶ月ちょい、案外手の早い恵胡と奥手なというか、一般的な俺。
「確かにさぁ………俺結構我慢してるけど……」
「どこが我慢なんだ?隙あらばって感じだろ」
うじうじと地面にのの字を書き始めた恵胡を一刀両断にすると、益々うじうじと縮こまっていくのが可笑しくて笑ってしまう。
「なんていうかさぁ~付き合ってるんじゃん、俺ら」
「確かにそうだけど?」
「その割には……付き合う前とあんまかわんないじゃん……」
確かに、相変わらず四人でいるし、一緒に帰るのは付き合う前から続いていたことで、最後にキスが一つ増えただけで以前となんらかわりはない。
「もっとデートしたり、いちゃいちゃしたりしてさぁ……思い出作りたいじゃん」
体操座りの膝の間から見上げる恵胡の瞳に、捨てられた犬が見上げているようなデジャブを覚える。
「っ、たく。夏休みバイトでもするか?」
とう言うと、恵胡は目を輝かせて飛びついてきた。
ワンと効果音をつけてやりたいほどの豹変。
なんだかんだで、俺は恵胡に甘いんだと思う。きっと。
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