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4月26日(木)
 
最初は一部の女子生徒の視線だった。
いつものように四人でくだらない話に花を咲かせていた時、いつものように恵胡は俺の頭に顎を置き肩から両手を垂らしていた。
本当にいつもとかわり映えの無い風景。
なのに感じる視線。
2限目が終わった後、俊が険しい顔をして教室を出て行った。
3限目のチャイムが鳴っても戻ってこないので、仕方なく保健室です、と数学の教諭に伝えた。
不真面目な見た目の俊だが、素行は良い。サボりだとは思わなかったのか、深く追求されることなく授業は始まった。
ただ、その事実を伝える為に発言をしている俺に、また不思議な視線が絡みついた。
普段は振り返りもしない奴らが、宛も今の発言に振り向いたとばかりにこちらを見ていた。
苛々とした思いが湧きあがる。
その所為で黒板を写し間違え、さらに苛々が増す。
丁度シャープペンの芯が折れたタイミングで、ポケットに入れていた携帯が震えた。
送信者は俊。
『授業終わったら屋上』
用件だけの簡潔な文に、決定事項かよとさらに苛々してしまった。
 
「なんだよ」
ドアを開けると、直ぐ横でだらしなく壁に寄りかかる俊がいた。
「まぁ、座れって」
「授業始まる」
「サボれ」
ふざけているのかと睨みつけると、同じように睨みつけている俊の瞳と克ち合う。
苛付いているのはこっちだと言ってやろうかとも思ったが、あまりにもその瞳が真剣そのものだったので言葉を無くす。
「悪い……ちょっと胸糞悪いこと聞いて苛々してる」
伸びた髪を派手に掻いて、俊は大きく息を吐いた。
「どうかしたか?」
いつも余裕の笑みを浮かべている俊の切羽詰った様子に、自分の苛々など忘れ心配の言葉が出てくる。
「あ~、………うん。……えっとな」
歯切れが悪い。視線は地面を向いたままだ。
「何処から漏れたかはわかんねぇ。ただ、変な風に噂が広まってる」
「何のだよ?」
きっぱりと言わず、回りくどい。
 
「彰と恵胡のことが噂になってる」
 
「…………は?」
最初は意味がわからなかった。俺と恵胡の噂?何かあったか?
そして、それはあまりにも当たり前に俺らの間の事実としてあった為気付かなかったんだと気付いた。
「あぁ~、なるほど」
だから不思議な視線が絡み付いていたのか。
「どんな風に?」
「…………聞きたいのか?」
「聞かなきゃ対応策がわかんないだろ?」
「……彰がホモで、恵胡のこと手腕で誑かした……てのが共通した噂だな」
「なんだそりゃ、性春真っ盛りなのは恵胡だろ」
可笑しくて噴出す俺を見る俊の瞳は、何処か悲しそうだった。
「なんでそんな顔してんだよ」
「いや……なんで他の奴らわかってくんねぇのかなって思って。彰と恵胡のことちゃんと見てれば、変な噂じゃなくてきちんと受け入れてくれんのにさ」
空を仰ぐ。
誑かしたって何だよ…………。
 
「どうしたい?彰」

そう、きっと俺は弱い人間なんだと思う。
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