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4月22日(日)
よくよく考えると、休日で四人集まる事は多くとも、四人で遊びに行くことは少なかったように思う。
特に目的の無い散歩。俊と散歩という名の相談をすることは多くとも、四人揃ってというのは珍しい。
既に桜は散っており、青々とした若葉を蓄えている。
毎日の登校で見ているとはいえ、見ることを目的に置いた場合と置かない場合では受ける印象は随分と違うものだ。
こんなことなら、先週変に意固地にならず声を掛けてみるべきだったと後悔する。
「平良~一口っ!」
「高いぞ」
「けちぃ~」
思いの他遠くまで来てしまった為、只今午後の一時であるが未だに平良の家に辿り着かない。
元はというと、俊と恵胡がムキになって自転車を漕ぐからいけないんだ。
止める俺と平良の声を無視して何処までも二人は走り続けた。疲れた体が、行きと同じ時間で帰り道をいけるはずがないのだ。
途中コンビニによって御飯でも買うには、それぞれの手持ちは少なすぎて軽いお菓子のみとなった。
今のコンビニには昔懐かしの駄菓子コーナーがあるのには驚いた。
ポケットの小銭を集め、各々百円程度購入したのだが…………ただ一人だけ一円も持っていない人物がいたのだ。
余りを出し合ってカンパしたが、集まったのは僅か21円。
キャ●ツ太郎一袋は、あっと言う間に恵胡の腹に収まった。
「まじでぇぇぇぇ、腹減ったって」
「うっせぇよ、恵胡。自覚すると腹減るんだからちょっとは黙ってろよ」
平良と目が合うと、お互い自然と溜め息が漏れた。
一時間位耐えれないものではないだろうが……そう思っても突っ込みを入れるのも体力が必要と考えたのか、どちらからも言葉は出ない。
そこまで考えない二人は、未だに餓鬼の言い合いのような喧嘩を続けている。
「もしも、恵胡にカンパした21円が全部1円玉だったら、それは魂と同じ重さなんだよな」
自転車の上で器用に蹴り合いを始めたが、俺らは気にもせず後ろをのんびりと走る。
「魂と?」
「そう、どっかの学者がさ、死ぬ瞬間に魂が抜けると思って実験したら21gだったんだって」
動きが大きくなった所為か、恵胡の後ろポケットに突っ込まれていたキャベ●太郎の袋が落ちた。
自転車の前輪でそれを止め、平良が袋を拾う。
俊がポイ捨てをしなくなったのは、平良のお陰だと常々思う。
「本当に魂ってあるのか?」
「さぁ、気のせいだと思うより、あると思ったが楽しくないか?」
手を出すと、平良は少し驚いた顔をしたがゴミとなったそれを俺に手渡してくれた。
別に…………意識している訳じゃないんだが……一応恋人が落としたゴミで、それを自分が責任持って捨てる立場にあるような気がしたのだ。
「夫婦みたいだな」
「そんなんじゃない」
遅れを取った二人を追いかける為にペダルを漕ぐ平良は、心底可笑しそうに笑ってくれた。
そっけなく返したつもりだったが、顔が熱いので意図したことは伝わってしまっただろう。
でも本意は教えてやらない。
そう思った自分すら恥ずかしいのだから。

零れ落ちた21円の袋が恵胡の魂の破片に感じたのは、平良の話の所為だ。


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この話から最近書き始めた分です~文体変わったりしてるのかなぁ??
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