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4月12日(木)
「紺のハイソックスって萌えるよな」
やる気のなさそうに、俺ら四人は壁に凭れ掛かりバレーに興じる同級生を眺めていた。
さぼりではない、体育の授業中で俺らのチームが現在審判に当たっているだけだ。
そう人数のいる仕事でもないので、あぶれた俺らは壁際に陣取っているのだ。
体育は白ソックスという決まりがあるので、現在この体育館の中で体育をしている生徒は皆白い靴下だ。俊はどの姿を見て、そう漏らしたのだろうか?
「皆白だぞ」
「はぁ?当たり前だろ。体育だし」
俊に何言ってんだという仕草をされると、なんとなくムッとする。勿論、隠すつもりも無く表に出すと、俊が一瞬固まるのが可笑しい。
「彰ってほんとニブチンだよな」
「なんだよ、それ」
「きづかねぇの??うちのクラスの女子、体育ん時だけ白に履き替えてるんだぞ」
普段の生活での彼女達の服装を思い出そうと努力する。指定のブレーザーやプリーツスカートは思い浮かぶが、足元は上手に描く事が出来ない。
「本当に、女子って大変な生物だよな」
平良も同意してか、コートの中にある細い白い靴下を目で追っていた。
「別に俺は白でも紺でもいいけどなぁ~」
恵胡は特に興味がないらしい。俺も同意の意味を込めて、軽く頷く。
「ノンノンノン!!!!お前らに男の浪漫がわからないのか?」
急に水を得た魚のように、俊の言葉に張りが生まれる。もう少しスペースがあれば立ち上がって、腰に手でも当てていただろう。だが、所詮はあぶれ軍団。コートの中に入らないように、背筋を伸ばすだけに終わった。
「浪漫??」
話の雰囲気を感じ取ったのか、恵胡の顔が生き生きとしてきた。
つい数ヶ月前まであった純情イメージなど、今ではそんな風に思っていたのが恥ずかしい位だ。恵胡は色馬鹿だと常々思う。
「そうだよ、恵胡君!!紺のハイソ!!想像してご覧………紺のハイソだけを脱がし忘れた姿をっ!」
拳を突き出して何を言うかと思えば………くだらなさに、溜め息を漏らす。しかし、いつもならばハモりそうな平良の溜め息がない。ふと見ると、平良の耳朶が赤い。アタック中の少女の姿にでも置き換えてみたのだろうか?
そんな平良に、もう一つ溜め息が漏れた。
「奇才現る!!俊、お前ってマジで天才なんじゃないのか??で、紺のハイソってどこ行けば売ってるんだ??」
「女子用ならそこらどこにでもあるだろうが、足のサイズがないかもな」
ちらりと二人して………。
「おい、どこ見てんだ??」
にっこりと笑うと、相談したように二人の目玉が泳ぐ。
全く、何を考えているのか……もし、恵胡が紺のハイソックスだけの姿になったら??
眼球運動をしているような恵胡を上から下までゆっくりと見た。
「………どこが萌えるんだ?」
どうやら俺には想像し難い趣向らしい。
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