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3月31日(土)
陰鬱な天気だ。昨日一気に降ってくれれば良かっただろうに……。
まぁ、それよりも陰鬱な雰囲気を漂わせているものが室内にいたりするのだけど………。
「おい、文句あるなら嫁さんに言え」
「誰が嫁さんだって??」
「いい!!その響きいい!!」
俊の言葉に沈んでいたはずの顔が、一気に綻ぶ。頬を赤らめながら、一人でおかえり、まずは御飯にする、それとも……という定番の劇をやり出した。
室内に漂うコーヒーの香りは、先日と違って三杯分。
二度目なので口を開かなかったが、案の定俊が暖かいものが出てきた!!と連呼した。
「でも、なんで彰に文句言わなきゃいけないんだよぉ~」
一人芝居が空しくなったのか、恵胡が口を尖らせる。
珍しく恵胡の家に集まっている。勿論先日の件があるので、平良はいない。と、言うよりも……。
「二人っきり嫌だから、一緒にいて♪と可愛く頼んできたのは彰の方だぞ」
「それ不平等!!俺も可愛く頼まれたい!!!」
「誰がそんな風に言ったんだよ、ってか恵胡も怒るとこそこかよ!」
今まで言えなかった分が一気に噴出しているように、俊は俺らをからかう事に余念がない。
見事な脳の回転で軽口を叩く俊。それに悪乗りしてしまう恵胡。わかっているのについ言わなくては気が済まない俺。
収集がつかない。
いつもなら………ある程度を越えると、冷静な突込みが降りてくるもんなんだけどな。
「あぁきぃらぁぁぁ!!俺にもおねだり!」
溜め息を付く間もなく、意味のわからない理由で恵胡がタックルをかましてくる。
「け、い、ご………」
見事に脇腹に決まり、息が吸えないのではないかと思った。気付いた様子もない恵胡は、嘘泣きで縋ってくる。
「痛い」
冷たく言い捨てると、恵胡をベッドに投げ捨てた。
「お、案外大胆なんだな彰。俺いること気にしなくていいから」
全く………頭が痛くなるほど収集がつかない。


流漣)今日は2日分UP。やっとこさ4月突入です。そろそろ詰まったペースです。うぅん……『流れる』で詰まりました。思いつきません……。
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3月30日(金)
珍しい呼び出し相手。
「よっ」
玄関に立っていたのは自分よりも一回り小さな相手。
傘を差していたのだろうが、生憎の雨で裾が濡れている。
「入るか?」
中を顎で刺すと、迷った末に恵胡は入ってきた。
タオルを投げかけ、部屋に案内する。鉄筋コンクリートのアパートは、雨を吸収して冷たくなっていた。
一人なら気にしないが、来客がある。俺はエアコンに手を伸ばし、暖房を付けた。
元々一戸建てに住んでいたのだが、一番上の兄貴の出産と同時にアパートに引っ越してきた。今まで住んでいた家を彼らが住むようにと。
勿論、嫁さんは酷く気を使って嫌がったが、両親が譲らなかった。
親子三人で住むには広すぎる。そのうち、自分達が年を取ってから帰ってくるっと言い残して。
同じ親子三人だろうが、っと言おうかと思ったが、毎日広い家に帰ってくることに寂しさを覚えていた俺は何も言えなかった。
小ぢんまりとした室内。そこに母がいる事が感じられ、父が帰ってきたことがわかる。
幼かった自分も、正しい選択だと今でも思う。
六畳ほどの小さな部屋。お下がりの電気機器で一杯だが、居心地はいい。
「急に悪い」
「いや、予測つかない訳じゃないだろ?俺の方こそ、昨日は悪かった」
仕掛けたのは自分だ。
「俊は悪くない。寧ろ感謝してるよ。あのままずるずると隠してたら、益々平良との溝は深まってただろ?」
その言葉に、気持ちが軽くなる。
「彰は?」
「今日は兄貴の新居決めに無理矢理付いていかされるんだとさ」
少し不満そうだが、どこかで安心しているのも確かだろう。
「どうした??」
「………あんさ、彰の事、よろしくな」
「おぃおぃ~なんか三つ巴の果てに負けた男みたいな台詞言うなよなぁ」
「彰はやらないからな」
「わかってるし」
本気で食いかかりそうになる恵胡が可笑しい。
「結構平良の事堪えてるみたいだし………」
昨日の彰の表情を見てればわかる。大切な友人に認めてもらえない辛さ。
「わかっちゃいるよ」
タオルと一緒に恵胡の頭を撫でてやる。
「お前は大丈夫なのか?」
「俺??やっぱキツイけど、彰ほどじゃない」
そう笑うが………無理に笑っているとしか俺には思えない。そう指摘したところで、こいつは認めないだろうがな。
「キューピットな立ち回りもたまにはいいかな」
出来るだけ軽く聞こえるように言った。恵胡にも、彰にも負担を掛けさせたと思われたくなかった。まぁ、負担とはちっとも思わないが、こいつらのことだから勝手にそう思い込む心配があった。
「さんきゅ」
ザァザァと振り続ける雨。
使い古された表現だが、なんとなく涙雨という言葉がぴったりだと思った。
3月29日(木)
呼び出されたいつもの公園にいたのは、呼び出した本人ではなく平良だった。
向こうも俺の姿を確認すると、驚いたような表情をした。
「俊は?」
「平良も俊に??なんかあるのか?」
てっきり相談か説教かがあるのかと思っていたので、気構えしていた緊張が解ける。
平良の座っていたベンチに腰掛る。少し落ち着かない様子の平良を不審に思う。確か、前に家に行った時から様子が変だった。もしかしたら、中学校の同級生だった女子と何かあったのだろうか?そのことの報告会とかであろうか?
「あれぇ??平良と彰??」
自転車のブレーキ音はしなかった、ということは、訓練の意味も込めて走ってきたのだろう。見ると恵胡はキラキラと輝く汗を振りまいて、こちらに手を振っている。
肩からはタオルをかけている。ということは当たりだろう。
入り口にある車侵入防止の鉄の棒を軽く飛び越える姿は、とても走ってきた人間とは思えない。
「俊に呼ばれた口??」
なるほど、こうなると俊の彼女お披露目会の方が可能性的に高い気がしてきた。
流石に男三人が同じベンチに座る事はできないので、恵胡はベンチの前にある遊具に座った。パンダやら象やらを模った乗り物バネの上に乗っているやつだ。恵胡は途端に楽しそうに前後に揺れ出すあたりは、体力馬鹿を通り越して幼児と呼びたくなる。
「俊、なんだろうな?」
「さぁ~俊のことだし、なんか驚かしたいんじゃない??」
ニコニコと遊ぶ恵胡とは反対に、どうも平良が沈んでいる。
「よっ!」
焦った様子もなく、俊が現れた。優雅にこちらに片手を上げて挨拶しているところは、俺らを集めておいて遅れたことへの罪悪感はないようだ。
「遅いぞ」
一言釘を打つと、へらっと笑ってかわされた。
「今日はどうしたんだ?」
平良の言葉に、俊は考え込むように手を口に当て、順番に俺らを眺めた。少し迷っているような表情。
「彼女でもできたのか?」
「うんにゃ。俺は未だに寂しいフリーダム」
恵胡をジッと見据えて、俊が笑った。
「そういや、恵胡。あの約束の結果はまだなのか??」
思わず肩が震える。あぁ、俊のことでも平良のことでもなく、俺らのことだったのか。しかし、急にどういうつもりだ??
恵胡は訳がわからないとキョトンとしている。
「時期がきたらちゃんと言うってやつだよ」
驚いたような表情に、本当に恵胡が綺麗さっぱり忘れていたことがわかる。揺れる遊具の上で、大袈裟に手を叩いてみせた。
「すっかり忘れてただろう……」
予想外の展開なのか、俊でさえがっくりと肩を落とした。
「確かに、困難な恋だったのはわかるが、覚えとけよなぁ………」
「いやぁ~苦労しましたって、俊気付いてたの??」
「お前の思い人より先に気付いてたぞ」
あまりに普段通りの会話の流れで、重要な事がぽんぽんと出てくる。思わず冷や汗が出たり、顔に血が昇ったりと俺に余裕がない。
恵胡も俊もどういうつもりだ??打ち合わせたようには見えないが……。
ふと、隣で座る平良があまりにも無口なことに気付いた。
こちらも、前も向いていない。ジッと地面を見ている。少し寄せられた眉。結ばれた口。
あぁ、そうか………いつだかはわからないが、平良も気付いたのだ。
「何それ~言ってくれりゃ良かったのにさぁ~」
「思い人は知ってるけどな」
二人の視線がこちらに送られても、俺は隣に座る平良を見ていた。
「まぁ、俺の口から言うなんて無粋なことはしねぇけど、ちゃんと本人の口から聞きたいよな??な、平良??」
俊の呼びかけに、肩を震わせ平良が視線を上げる。
普段の彼とは思えない、弱々しい動き。
「え、あ……あぁ」
肯定を意味する言葉だが、その響きには否定が含まれていた。
聞きたくない、と思っているのだろう。
思わず歯を噛み締めてしまう。
 
「平良」
 
恵胡の澄んだ声。鍛えられた腹筋の所為か、僅かな声音でも一つ一つの音が綺麗に耳に入る。
恵胡が笑っている。人好きのする、彼の笑顔。
「ここにご報告します。御岳恵胡は先日やっとの思いで、大好きな浦田彰をものにしました。現在二人は恋人同士というやつです」
最初に目を反らしたのは俺だった。
その言葉の意味に、相変わらず赤面してしまった為だ。
沈黙が落ちる。
俊も何も言わない。皆待っているのだ、平良の言葉を。
「……………ごめん。まだ素直におめでとうと俺は言えない」
小さいながらも、意志の強い呟き。
中途半端に自分を偽るのではなく、平良は自分の気持ちをそのまま言ってくれた。
「ありがとう」
平良がこちらを向くのがわかった。それでも顔を見る事はできなかった。正直に言ってくれたことは嬉しいし、偽りのない俺らの関係が誇りだ。それでも………平良がどんな目で俺のことを見ているのかを確認するのが怖かった。
「ごめん、な」
搾り出したような声。
平良の砂を踏む音だけが響く。
恵胡は手を振っているかもしれない。俊も軽く手を上げただろう。
それでも、俺は顔を上げる事はできなかった。
3月28日(水)
「え、まじで!!やぁり~」
そう言うと、兄貴は大きな手で俺を撫でた。もうガキじゃねぇんだぞっと言うと、お前はいつまでもガキだと返された。
お古を貰うのは良くあることで、特に金を稼ぎ出した社会人になってから貰うものは、お古と言えど侮れない。コンポ替えたからっなどと額の違うお古が来る事も多かった。
年がいって出来た子供だったから、親父とお袋も俺には甘かった。
一番上の兄貴とは二十、一番下の兄貴とは十三違う。既に上二人の兄貴には子供もいる。
こんな状態だからか、俺は頭を撫でられ慣れていた。抱きしめられる側に慣れていた。
同じ年代と一緒にいれば、兄貴達の影響でどこか大人びた雰囲気があるのだろうが、実際の俺は甘えたがり屋なのだろう。だからでこそ、彼女と付き合った時、あまりにも心地が良かった。
俺を包み込むような、温めるような腕が愛しかった。
それに甘えきっている自分がいた。エゴだ、相手だって甘えたいに決まっている。現に今まで付き合った少女達は俺に凭れ掛かるように甘えてきた。
そんな彼女達を甘やかすことはあっても、俺から甘えることはなかった。
それが不服なのか、『俊君は本当に私のこと好きなの?』と言われることも多くはなかった。なんだか……俺もその少女達と変わらないなっと思い苦笑してしまう。
実際彼女達の中には縋って欲しくて別れ話を切り出す子も少なくはなかった。わかっていても俺は縋らない。来るもの拒まず、去るもの追わずがモットーだしな。
こんな俺でも………。
「たまにゃぁ頑張らなきゃかねぇ~」
弱さを見せながら、弱さを見せてくれる。友人とはこんなにも心地よいものとは思わなかった。
どこか色眼鏡で俺を見ていた奴しか今まで知らなかったから、彼らのことを大切にしたいと思う。
一昨日平良の家で見せた、平良の表情を思い出す。彼がトイレに立った時、先の先まで読んでおくべきだった。
あぁ、あいつら馬鹿か。
その表情から彰と恵胡の逢瀬の場でも見たことが直ぐにわかった。
真面目な平良が直ぐに受け入れれるとは思わない。恵胡にとっては何も知らないことになっている自分が、お節介を焼いてもいいものだろうか??
「いつまでも、加護される側じゃねぇしな」
両親の手の中で、兄貴達の手の中で大事に守られてきた俺だけど、たまには自分で守りたいものだってあるさ。
そろそろ、羽を広げる頃かもしれない。


流漣)本日は3日分UPです。やっと3月分が終わりそうなのに、4月も半分越えましたよ!増えるワカメちゃんみたいだ……さて、今日は俊君応援デーみたいなUP内容ですw
3月27日(火)
「人の家だよな………」
静かな午後。見慣れたはずの場所が、何故だか遠く思える。
リビングのソファーに体を沈めると、背後にあるキッチンは見えない。代わりに目前にあるテレビにその輪郭が映る。テレビを付けていればいいのだが、今はまだ黒い画面のまま。
「ったく、迷惑な奴ら」
勿論、全てが本心ではない。彼らは大切な友人だ。
それでも、テレビに映る彼らの姿が思い出される。
濃厚な口付け、響く水音。
二人は……そういう関係なのだろうか?
同性愛という言葉は知っている。それを売りとした芸能人もいるし、そういう人達にスポットを当てたニュースなども見た事がある。
だが、あくまでもそれらは自分の生きている世界から遠い出来事でしかなかった。
稀少な人種だと思っていた。
普通に生活していて、出会うことなく一生が終えるであろうと思っていた。
他校に通う少女のことを思う。俺が思いを寄せる人。思い浮かべるだけで、どこか胸が安らぐ。
彼女と……将来的には、手を繋ぎ、キスをし、その先もしたいと思う。
想像すると反応するところは、やはり自分も男だから仕方がない。
そして、大人になって、仕事をして、少し高いレストランで食事なんかもしたい。夜景が綺麗なホテルに年に一回彼女の誕生日に泊まるのもいい。ボーナスが出たら温泉旅行に行こう。誕生日にはどんな忙しくても駆けつけられるよう努力したい。
純白のドレスを身にまとう彼女。隣に立つ自分。
そんな姿を想像することができる。小さいけど庭付きの一軒家。彼女に似た子供。
叶う叶わないは別として、そんな未来を夢見ることが出来る。
でも二人には??彰と恵胡。二人がそういう関係ならば、描く事の出来る未来には限度があるのはわかりきったことだ。
それで、二人はいいのだろうか??
愛しそうに子供を抱き上げ笑う彼女は想像できても、同じ状況で笑う二人は想像できない。
「それで、いいのか??」
悶々とした気持ちのまま、顔を上げるとやはりテレビが目に入る。
リモコンに手を伸ばし、チャンネルをつける。移り変わる場面が現れても、どこかであの二人の姿がちらついていた。
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